ミステリアスな空間に惹かれて
仕事柄よく楽天トラベルを利用するが、
かねてから気になっていた旅館がある。
出雲市、松江で泊まろうと検索すると必ず上位に出てくる宿だ。
その名は持田屋旅館。
設備やロケーションその他、
贔屓目に見ても際立ってよさそうには見えない。
それに価格は安いけど・・・
アメニティ等ないし、風呂トイレ共同。
(しかもトイレは和式only)
極めつけは泊まるなと言わんばかりの注意書きの数々。
それゆえ、初めは某食べ○グのごとき
自演を疑ったが、口コミをざっと一読して
サクラ臭が全くしてこないことに感銘を受けた。
ここまで客が本心で感謝して
書き込みしているのは結構珍しい。
名物女将のサービスだけで、
ここまで高評価になるのだろうか…。
気になってしょうがなかったので、
日御碕へ行く途中一寸寄り道して
持田屋旅館に宿泊してみることにした。
空間の記憶
持田屋旅館は、なんと女将
(以下ようせいさんと呼ぶ)
一人で切り盛りしている。
それゆえ夕食や朝食は、
出したくても出す余裕が無いのです。
(そのかわり提携店が多数ある)
でも負荷がかかり過ぎない程度をキープしつつ、
やれる範囲で最大限のもてなしをしてくれる。
それをあえて列挙するならば・・・
■掃除が行き届いている。
→ようせいさんの、お客さんに最大限
旅を楽しんでもらいたいという思いが
この空間に反映されているような雰囲気。
■ようせいさんのおせっかいが味わえる
→島根県の「だんだん」的空気が味わえる。
時におしつけがましくおせっかいだけど、
こちらのために色々気を使ってくれる。
それを懐かしく心地よく思うか、
放っておいてくれと思うかは人それぞれ。
(後者の人にはたぶん居心地悪いと思う)
まあ言ってしまえば和風ペンションというか
相部屋でないユースホステル、的な雰囲気。
ようせいさんのサンクチュアリだけに、
一見さんに場の空気を乱されるのを
ようせいさんは嫌うようですが、
一度仲良くなってしまえば…第二の我が家になり得る宿です。
私個人も「お客様は神様」
(よく誤用される方の意味)的思想が大嫌い。
だからこそようせいさんの気持ちもわかるし、
接客業らしくないスタンスを貫ける
ようせいさんの強さに感銘を受けました。
日常生活において精神的余裕を失い
日本人が持っていたおおらかさを
取り戻したいと思っている人ならば…
持田屋旅館は「天下の回り物」で
穢された心を清浄化できる
ある種のパワースポットになり得るのかな、と。
そしてそれを求めている人が
多くいるからこそ楽トラのあの評価に
つながっているものと思われます。
そう考えると、今の時代も案外捨てたもんじゃないですね。
情報化社会で溢れかえる情報に
価値がなくなり、逆に個人の体験と
感覚が重要視される時代だからこそ
持田屋旅館(ようせいさん)は、
人々に愛されるのかもしれません。